おまえは、愛を食う獣。アフレコ(ミニ)レポpart2

※ご注意
 内容に関して極力ネタばれはしておりませんが、声優さんの演技・CD自体に先入観を
 もって聴きたくない、という方は、先にCDを聴かれてから読むのをお勧めします。

知るか。俺は俺のやりたいようにやる。
大体、優哉だって共犯だろ。今更、降りるなんて言うな。
……俺は、そんなの許さねぇ。


幼い頃から組長の息子として側近の室生を従え、暴君として振る舞ってきた響。
長じては「狂犬」だの「獣」だの言われながら、それでも不思議なカリスマ性で
次期組長候補の位置を固めていく……そんな役柄に、真正面から取り組んでくださった
のが、小野大輔さんです。大変カッコよく、かつ繊細に響を演じてくださいました。

その演技は、一言で表現するなら「孤独な獣」。いや、カッコつけでなく本当にそう
感じたのですよ! 剣呑として常に何かに苛立っており、そのくせ双子の兄である彗にだけ
はとことん優しい。対・彗と対・その他(中盤まで、ここに優哉も含まれるところが憎らしい
のですが・笑)では、その声音がまるきり違います。そんな小野さんの二種類の声をたっぷり
堪能できるという意味でも、大変オイシイ現場でありました。
自分が何を欲しいのかわかっておらず、身体だけの関係だと思っていた優哉への想いが
なんなのかにも気づかない。そんな響が少しずつ変化し、どうすれば本気で欲しい相手を
手に入れられるのか、と考え始めるのがこの話の肝なのですが、小野さんはヤクザだから
といって過剰な芝居に走ることなく、素直にしなやかに響の感情を表現してくださいました。
…とはいえ、もちろんドスを効かせる部分は迫力もあり。年若い暴君の雰囲気を織り交ぜ
つつ、命令しなれた者の余裕なんかも味わえちゃいます。堀内賢雄さん演じる室生を従え、
当然のように傅かせている場面など思わず主従萌えの血が騒いでしまいました。
しかして、裏側では小野さんも大変に緊張されていたらしく、何かでリテイクが入ると不遜な
響から一変「すみません!」といきなり腰が低くなるあたり、そのギャップにも違う意味で
楽しんでしまいました(隣の三木さんに励まされ、神妙な感じでお返事されているところなんて
役柄とは真逆な感じで。真面目なお人柄が、しのばれる気がしました)。
聞けば、大先輩でもある三木さんと組むというので前日からとても緊張されていたとのこと。
いわゆる「先輩を慕う年下へたれ攻め」ではなく、けっこう三木さん演じる優哉に無体な真似や
乱暴な言動をする役だったので、余計にそう思われたのかもしれません。タメ口だし(笑)。
そのせいか、全ての収録が済んだ後、帰られる前にお話しした時は疲労困憊という感じで、
「もう、持てるだけの力は全部出し切りました……」としみじみと仰っていたのが印象的でした。
実際、スタジオで聴いていた時はセリフ一つ一つに細やかな感情表現が為されていて、全然
いっぱいいっぱいなイメージは受けなかったのですが、それはあくまで響になりきっていた
から、だったようです。そんなところにも新たに感銘しつつ、「響を小野さんに演じて
いただけて本当に良かった……」と心から思った一幕でした(「この後の仕事、どうしよう」
とポツリと呟いた一言に、どれだけ頑張ってくださったかが表れていたように思います。
本当に、ありがとうございました!)。
ちなみに、神奈木的お気に入りは(もう全編大好きなんですけど)、彗との会話の中で出てくる
一言。 「おまえが好きだよ、彗。おまえのためなら、なんだってしてやる」……です。
優哉を差し置いて、実の兄にそれを言うか〜って感じなんですが、響が初めて心情を吐露する
重要な場面でもあり、ふっと年相応の声になる一瞬でもあるのでグッときてしまいました。

前回の主役・菜央役の岸尾だいすけさん。
室生との生活をスタートさせ、それでもまだ過去を振り切れなくて…という明暗の演じ分けを
見事にされていて素敵でした。普段より心もち低めで憂いを含んだ声音で、なんだか聴いている
と「放っておけない」気分にさせられちゃいます。優哉がモグリの医者になった経緯を語る
場面も、「この菜央なら気を許して話しちゃうよなぁ」という自然な流れになっています。
響の一卵性双生児の兄・彗役の柿原徹也さん。
透明感のある静かな声色で、身体は弱いけれど芯の強さを感じられる演技に、彗びいきの
私はうっとり聞き惚れてしまいました。今回はセリフも登場場面も多いのですが、その中でも
おススメは響との会話。兄弟ならではの、他とは違った空気が流れます。柿原さんが兄、と
いうことで前回は驚かれた方も多かったのですが(声優さん含む)、今度は納得していただける
はず。凛と響を諭すあたり、アンケートで「最強」と言われたのを彷彿とさせるお芝居でした。
響の側近で菜央の恋人・室生龍壱役の堀内賢雄さん。
今回も、さすがの存在感。渋い大人の魅力で、補佐役をクールに演じてくださいました。
堀内さんの声が入ると場面が引き締まるというか、物語全体の雰囲気がまとまる感じがします。
また、過去の回想シーンでは26歳という若い頃の室生も演じておられますので、その違いを
楽しんでくださいませ。菜央と暮らす決心を響へ語る場面では、腰の据わった室生の気持ちを
知ることもできると思います。迷いのない堀内さんの声が、太鼓判を押してくれているようです。
室生の舎弟・宮下克己役の大原崇さん。
いただいた感想でも、人気のあった大原さん。相変わらず美声です。そして、賢そうだ(笑)。
もう、彼に関しては原作よりずっとCDの方がカッコいいです。あの声で「宮下克己の愛と
仁義の日々」を聴いてみたい……。とにかく、今回も活躍してくれました。

追記:収録直後にメモしておいたせいか、なんだか前回よりやたら長くて熱いレポになって
しまいました〜。今回は橘役の三宅健太さんの出番がなくて残念だったのですが、彗はCD中
で「会いたい」と言ってましたので、二人の場面はあれこれ想像していただけると嬉しいです。
しかし、ネタばれを避けつつのレポって難しいですよね。う〜ん、少しでも声優さんの熱演と
私の感動が伝わっていることを祈るばかりです。第二弾ということもあり、キャストの方々の
役作りにも一層深みの増した今作、ぜひぜひ聴いてみてくださいね。

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